清酒酵母(きょうかい酵母)はパン酵母やワイン酵母、実験室酵母と同じSaccharomyces cerevisiaeであるが、実験室酵母よりもはるかに高い濃度までアルコールを生産する能力を持つ。そのため、清酒酵母は実験室酵母などよりも高いアルコール耐性やストレス応答能を持つとこれまで考えられてきた。しかし清酒酵母の真の姿は、ストレスに対する速やかな応答や防御能を犠牲にして、ひたすらアルコール発酵に専念する猛烈サラリーマンのようなキャラクターであることが、演者らの研究で明らかとなってきた。
本講演では、普段勉強している分子生物学や細胞生物学、ゲノム解析の知識や研究が酒類醸造や食品産業においてどのように役立っているのかも紹介しながら、基礎と応用に渡る最新の知見をわかりやすく解説していただく。
【演 者】
渡辺 大輔 博士
奈良先端科学技術大学院大学 (NAIST) バイオサイエンス研究科 ストレス微生物科学研究室・助教
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