京都工芸繊維大学美術工芸資料館が、文化庁委託事業として若手作家の成長支援を目的とする「未来の途中」プロジェクトを始めたのは、2013年度のことでした。展覧会を中核とするこのプロジェクトには2013年度から2016年度までの4年間に美術・工芸・デザイン分野の若手作家40名余が参加し、京都工芸繊維大学美術工芸資料館のほか、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、京都造形芸術大学ARTZONE、京都市内の京町家などを会場に、自身の制作テーマを追求することで制作した作品のみならず、時にキュレーターから与えられたテーマにもとづき制作した作品や他作家とコラボーレションすることで制作した作品によって、展覧会を実施してきました。
本展は、こうしたプロジェクトの最後の展覧会で、プロジェクトに3期生・4期生として参加している作家の有志メンバーの作品によって構成されるものです。
展覧会名に「その後の」とつけたのは、さしあたり本展が、出品作家たちが昨年度参加した「手立てと方便」展(2016年12月、京都造形芸術大学ARTZONE)、「未来の途中の星座」展(2017年1月-2月、京都工芸繊維大学美術工芸資料館)、「未来の途中の、途中の部分」展(2017年1月-2月、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA)に続く展覧会であることを意味しますが、一方で本展が「未来の途中」プロジェクトの最後の展覧会であることとも関わっています。
若手作家たちの活動は、この展覧会が終わった後も続いていきます。自分自身が何を目指し、今後何を課題として制作を進めていくべきなのか。その答えは、この展覧会の出品作品の中から見出されるでしょう。とすれば、出品作家たちにとってこの展覧会は、先の展覧会の「その後」の成果を示すものであると同時に、この展覧会の「その後」の道行を示すものともなるでしょう。
「未来の途中」にいる若手作家たちの現在地点を存分にお楽しみいただくともに、この展覧会の後へと続いていく若手作家たちの挑戦にご期待いただけると幸いです。