私たちの身体では日夜、免疫細胞と感染病原体との戦いが繰り広げられています。免疫細胞は多種多様な「病原体認識受容体」を発現しており、それにより病原体を感知して免疫応答をコントロールしています。
「病原体認識受容体」というと、免疫細胞を活性化するものと捉えられがちですが、免疫応答を抑制する受容体も存在します。抑制型受容体は、免疫細胞による過剰な炎症を防ぐためのブレーキのような役割を果たしています。最近、歯周病菌が抑制型受容体を利用して免疫応答を減弱させることで、感染防御を回避していることが見出されました。さらには、この回避機構を標的とした歯周病菌の新規治療戦略を見出しつつあります。本セミナーでは「病原体認識受容体」という視点から、免疫細胞と感染病原体との攻防戦を紹介します。
【演 者】
三宅 靖延
佐賀大学医学部・分子生命科学講座 免疫学分野・准教授