近現代の大衆文化を特徴づけるものの一つに、商品広告のポスターがあげられます。「おいしい広告:欧米と日本の飲食物のポスターを中心に」展(2016年度、京都工芸繊維大学美術工芸資料館)に続くこの展覧会では、私たちの日々の暮らしのなかで、味覚や嗅覚に快感を与え楽しまれる嗜好品である酒、煙草、菓子の広告に焦点をあて、優れたポスター・コレクションで知られる京都工芸繊維大学美術工芸資料館所蔵のポスターを中心に、国際日本文化研究センター所蔵資料などを交えた50点あまりの広告資料を紹介します。これらの広告は、まだ消費者の口に届けられていない嗜好品がいかに新しく、おいしく、すばらしい商品であるかについて、それぞれの時代や地域特有の視覚的イメージを駆使し語りかけてきます。これらの広告を通して、ヨーロッパと日本の嗜好品文化や視覚的表現の工夫を見比べつつ、近現代における商品と大衆的な視覚的イメージとの関係を探る試みです。
また、日本の製菓会社の広報誌やおまけといった広告関連資料を紹介する特集コーナー、藤田嗣治とも交流のあったグラフィック・デザイナー・里見宗次(1904-1996)によるフランスと日本の嗜好品広告類を紹介する特集コーナーを設けることで、洋菓子産業をめぐる文化的な営みの一端も紹介します。
なお、この展覧会は、京都工芸繊維大学美術工芸資料館と国際日本文化研究センター・機関拠点型基幹研究プロジェクト「大衆文化の通時的・国際的研究による新しい日本像の創出」の連携により開催されるものです。また展覧会企画運営にあたり、JSPS 科研費17H07340 の助成を受けています。
◎関連企画
○ギャラリートーク
日時:2019年1月12日(土)13:00~14:00
(館内同時開催の「南方熊楠 ~人、情報、自然~」と共催)