現代において、ポスターに写真が使われることは、非常に一般的です。写真が使われているポスターをその表現方法に注目してみると、トリミングやモンタージュ、文字との構成など、あらゆる表現が存在していることに気づくでしょう。またそれらは、当時の社会情勢や印刷技術の発展とも無関係ではありません。
本展は、京都工芸繊維大学美術工芸資料館のコレクションから、日本のポスターにおける写真表現に着目したものです。第1室では、日本でポスターに写真が使われだした初期の作品を、それらに影響を与えた美人画ポスターと共に展示します。第2室では、1960年代、70年代の大島弘義や檜垣紀六、TAB(Tokyo Art Bureau)、粟津潔等の作家による表現豊かな映画ポスターを紹介します。第3室では、グラビア印刷の色彩が美しい亀倉雄策による1964年の東京オリンピックのポスターを起点に、写真の使われているオリンピックポスターを展示します。
ポスターにおける写真表現の発展をその時代の変化と共に感じていただけると幸いです。
◎同時開催「草の根のアール・ヌーヴォー 明治期の文芸雑誌と図案教育」
会期:2019年10月28日(月)~11月22日(金)