「認知的インタラクションデザイン学」公開講義2020

京都工芸繊維大学 大学院工芸科学研究科 情報工学専攻では、2015年度より、インタラクションデザイン学コースを設置し、そこでの授業として「認知的インタラクションデザイン学」を開講しています。
 本講義は公開講義として実施し、学内外から、どなたでもご参加いただくことができます(参加費無料)。
 今年度はオンライン開講となり、リアルタイム型の講義のみ聴講いただけます。その他の講義については、講義資料のうち公開可能なものを後日公開する予定です。

お問い合わせ先
聴講希望の方は、オンライン参加の方法について下記までお問い合わせください。
情報工学・人間科学系 担当教員
E-mail:cid[at]hi.is.kit.ac.jp (※[at]を@に変換してください)
日時
2020年7月3日(金)10:30~12:00
講師
北島宗雄(長岡技術科学大学 技学研究院 情報・経営システム工学専攻 教授)
題目
認知的クロノエスノグラフィによる高齢者の実空間・情報空間ナビゲーション行動の理解とインタフェース評価
概要
私たち人間は、環境から情報を取得し、次に取るべき行動を選択・実行し、その結果を記憶することを繰り返しながら日々、暮らしている。ここで、注意・プランニング・作業記憶などの認知機能が重要な役割を果たすが、これらは加齢に伴い低下することが知られている。本講演では、高齢者が実空間・情報空間を移動してゴールにたどり着こうとするナビゲーション行動を取り上げ、ナビゲーション行動支援のためのインタフェース評価を、合目的的サンプリングによる被験者選定・被験者のタスク遂行過程の現場観察によって人間行動を理解する手法「認知本的クロノエスノグラフィ」を適用して、認知機能低下の行動への影響に着目して行う方法を概説する。
日時
2020年7月6日(月)14:30~16:00
講師
伊藤 雄一 (大阪大学クリエイティブユニット 准教授)
題目
インタラクションデザインとブランディング
概要
一般的に、インタラクションデザインといえばユーザインタフェースなどのデザインやウェブページのデザインなどが挙げられるが、人と情報とのインタラクションという意味では、企業ブランディングなどにおけるクリエイティブのデザインもそれに当たる。本講義では、ユーザインタフェースの研究者でもある講義者が、これまで実施してきた大阪大学におけるブランディングにおけるクリエイティブのデザイン手法などを通し、人を中心とした情報デザインおよびその実際について詳説する。
日時
2020年8月3日(月)14:30~16:00
講師
岡 夏樹(京都工芸繊維大学 情報工学・人間科学系 教授)
題目
Theory of Mind and Language Processing, Fast and Slow
概要
人が行う情報処理の特徴は、自動的な速い処理を行うSystem1と意識的な遅い処 理を行うSystem2の両方で成り立っていることである。本講義では、A)自然言語理解/生成、B)心の状態の理解―それぞれの計算モデルをSystem1、System2の観点から紹介し、知能とは何かを考えるきっかけを提供する。
(講義は日本語で行いますが、主要なスライドは英語で書かれています。)
日時
2020年8月7日(金)10:30~12:00
講師
岡田 美智男(豊橋技術科学大学情報・知能工学系 教授)
題目
〈弱いロボット〉研究のめざすもの
概要
「こんなことも、あんなこともできる!すごい、すごい!」と高機能な側面ばかり喧伝されるロボットや人工知能にも、不得手なところ、不完全なところはまだ多い。こうしたロボットの「弱い」ところを隠さずに、適度に開示してみたらどうか。本講義では、子どもたちの手助けを上手に引き出しながら、ゴミを拾い集めてしまう〈ゴミ箱ロボット〉やモジモジしながらティッシュを手渡そうとする〈アイ・ボーンズ〉などの事例を紹介しながら、人とロボットとがお互いの「弱さ」を補いながら、その「強み」を引き出しあう関係性のデザインについて議論する。