オープンキャンパス2021研究室紹介(バイオベースマテリアル学専攻)

バイオベースマテリアル学専攻の研究室(5グループ)の概要を紹介します。
もっと詳しく知りたい方は、バイオベースマテリアル学専攻のホームページもご覧ください。

生物資源システム工学研究室  (小原 仁実、麻生 祐司、田中 知成)
【研究テーマ】バイオベースマテリアルの製造プロセス研究開発、バイオビニルモノマー生産微生物の探索と新規メディカルポリマーへの展開、
 機能性有機材料・生体分子複合体の創製
【キーワード】微生物物質生産/微生物電気化学/プロセス工学/合成化学/高分子化学

 当研究室は、有機化学と生物化学の縦断領域の研究を志向しています。各教員がそれぞれの分野で高い専門性を持っていることは言うに及ばず、他の分野に挑戦することにより新しい発見が生まれます。そして、その成果が地球環境問題や医療の分野に貢献することを企図しています。例えば、バイオマスを微生物の力により、有機合成可能な分子に変換し、その分子を用いて環境問題や医療に役立つ高分子を合成する研究が挙げられます。
 個々の分野における挑戦も重要であり、微生物の機能を有機化学的、あるいは電気化学的に向上させる研究にも着手しています。このような萌芽的な研究を進めるには、教員は元より、学生諸君も異分野の科学を学び、考える必要があります。皆さんも一緒に有機化学と生物化学を融合させた新しい研究領域の創造にチャレンジしてみませんか?

バイオベースマテリアル化学研究室  (青木 隆史)
【研究テーマ】バイオベースマテリアルの合成、バイオポリマーから成る新規機能性材料の調製、医療材料への応用のための生体不活性な表面の分子設計と評価
【キーワード】バイオベース化学/高分子化学/天然高分子/バイオマテリアル/微生物ポリエステル

 バイオマスからの原素材を利用して、実用可能なバイオベースマテリアルを合成するための基礎ならびに応用研究を行っています。ポリ乳酸などの既存のバイオベースマテリアルの新規合成法(ケモバイオ変換)の確立や、新規バイオベースマテリアルの分子設計と合成、そして、それらの物性評価や機能評価を行っています。
 また、多糖類やDNAなどの天然高分子を利用した新しいプラスチックの創製も展開しています。既存プラスチックの代替だけでなく、新しい材料科学・工学の研究分野を切り拓き、今世紀の素材におけるパラダイムシフトの実現に向けて、少しでも貢献できるように日々研究を遂行しています。

バイオ機能材料研究室  (安永 秀計、綿岡 勲、岡久 陽子)  ※岡久 陽子准教授の紹介動画はこちら
【研究テーマ】バイオベースマテリアルを用いた機能性材料の創製と機能加工
【キーワード】染色/カテキノン/セルロースナノファイバー/構造解析

 本研究室では、多糖・タンパク質などのバイオ材料の溶液やゲル状態における構造と機能の関係を、X線測定や分子モデリング法を駆使し、解明する研究を進めています。また、セルロースナノファイバーを用いた材料開発を行なっています。得られた結果は新しい機能を持った繊維や機能材料の応用研究・開発につながります。
 さらに、バイオベースマテリアルを用いた毛髪や繊維の染色・機能加工の研究を行なっています。持続的に得られる・環境に低負荷である・安全性が高いといったバイオベースマテリアルの特長は、これからもっともっと利用されるべき材料にとって重要です。さらに、その物質だからこそ発揮できる特性を活かした材料を開発できるよう、それがもつ性質を丹念に調べる基礎的な研究を続けています。

バイオナノファイバー研究室  (徐 淮中)
【研究テーマ】バイオ・バイオベースポリマーのナノ繊維化、 ミクロ3D構造の形成、医療デバイスへの応用
【キーワード】バイオベースポリマー/高機能・高性能繊維/分解性医用デバイス/ミクロ3D構造構築

 本研究室では、電界紡糸法による新規なバイオ・バイオベースポリマーのナノ/マイクロファイバー化および繊維の構造解析を行っています。化学合成あるいは微生物合成バイオベースポリマーのみならず多糖類、DNA、タンパクなどのバイオポリマーの繊維形成性や力学的、熱的性質など繊維物性の向上を目指した研究を行っています。
 さらに電界紡糸法と3Dプリンターを組み合わせること(Electrospinning-Writing process)によりミクロな3D構造を形成し、医療組織工学への利用を目指しています。このような新規な材料が全て容易にナノファイバー化、ミクロ3D化されるとは限らず、材料の化学、物理、および物理化学的性質を詳細に調査することによる成形条件の探索、および新たな繊維化方法の開拓を行っています。このような研究内容のため、多くの繊維あるいは化学系企業との共同研究を手がけています。

ナノ材料物性研究室  (櫻井 伸一、佐々木 園)
【研究テーマ】多相系高分子材料の構造と物性、バイオベースポリマー薄膜と有機-無機ハイブリッド材料ナノシートの構造研究
【キーワード】ブロック共重合体/ミクロ相分離構造/高分子の結晶化/高分子薄膜・表面構造/放射光X線散乱・回折法

 当研究室では、繊維や高分子薄膜・結晶、ポリマーアロイなどにおいて形成される凝集構造(秩序構造、アモルファス構造、パターンを含む)を、物理化学的手法、分光学的手法、電磁波(中性子、X線、光)の散乱・回折法等を用いて解析しています。
 また、材料の静的・動的構造と物性との関係を解き明かすとともに、新規な材料創製・設計指針を開発し、ユニークな物性を発現させることを目的に研究を行っています。バイオベースポリマーの材料特性を分子レベルで明らかにするための研究やグリーンイノベーションの推進に有用なポリマー材料の構造計測技術開発にも力を入れています。