千 玄室 氏(茶道裏千家15代・前家元)が「京の伝統工芸-知 美 技(課題解決セミナー1)」にて講義をしました

 9月4日(月)、本学顧問の 千 玄室 氏(茶道裏千家15代・前家元)による「京の伝統工芸-知 美 技(課題解決セミナー1)」の講義が行われました。
 本講義は、本学の学部4年次及び大学院博士前期課程学生を対象とした2006年度から続く大学院の専攻共通科目で、茶道を知ることにより、京都の文化の特徴や世界の中での意味を考えることを目的とした科目です。例年多くの学生が受講しており、今回の講義は約160名の学生が聴講しました。

 千顧問の講義ではまず、美意識(=美の哲学)について触れられました。京都という土地と町衆は、長きにわたり御所・天皇とともにあり、京都の有職文化の中で、陶芸師や木工師などの多くの匠が美を求道し、美に対する哲学が育まれてきたことが語られました。
 その後、茶室の起こりや、陶芸を中心とした茶道美術が今の美術工芸を発展させてきたことに触れられ、最後に、学問とは単に知識を得るのみではなく、実際に触れて考えることが大事であること、大学における学びとは、得られた知識に対して疑問を持ち、各々の力で各々の道を開拓することであるとのメッセージが学生に向けて語られました。

 授業担当の基盤科学系 澤田 美恵子 教授は本授業について、「千顧問の理念は『一盌(いちわん)からピースフルネスを』です。コロナ禍が収束し、今後再び大学の国際交流活発化が見込まれる中で、千顧問の平和を希求する思い、学問の求道の姿勢は聴講者に一層染み渡り、響いたのではないでしょうか。」とコメントしました。

 なお、次回以降の授業では、裏千家業躰である 町田 宗隆 氏より学生に対し、実際の茶道の立ち振る舞いなどを学ぶ茶道研修が実施される予定です。

壇上で講義を行う千玄室顧問