無極性配向ウルツ鉱型AlN系微結晶薄膜をガラス基板上に形成する技術を開発

 本学工芸科学研究科博士後期課程3年立溝信之氏、電気電子工学系の今田早紀准教授らの研究グループは、無極性配向したウルツ鉱型窒化アルミニウム(AlN)系微結晶薄膜をガラス基板上に形成する技術を開発しました。本成果は、英国Nature系科学雑誌『Scientific Reports』2020年2月4日版に掲載されました。

【研究成果の概要】
 ウルツ鉱型窒化アルミニウム(AlN)は窒化物半導体のひとつで、深紫外域の光を放つLEDを作製できると考えられています。深紫外光は水や空気の殺菌や有害分子の分解ができるエネルギーをもっており、殺菌光源として水銀ランプやメタルハライドランプなどが利用されていますが、消費電力が大きい、寿命が短い、さらにランプ自体が大きいなどの欠点があります。

 このランプを、消費電力が小さく、寿命が長く、さらに光源自体を非常に小さくできるLEDで置き換えようと、世界各国でAlN系深紫外LEDの開発が行われています。AlN系深紫外LEDの開発には、Al原子とN原子のペアを”無極性配向“という原子配列にしなければなりませんが、非常に高度な技術や高価な基板が必要です。

 本成果は、この無極性配向を、非常に簡単に、しかも、ガラスなどの安価な基板上にも形成できる方法を開発したというものです。現時点では、まだ小さな“種”の結晶ですが、今後は大きく成長させる技術を開発し、医療や衛生分野で期待されている高効率AlN系深紫外LEDの実現に寄与したいと考えています。

 本件の詳しい内容はこちら(PDF)
 英国Nature系学術雑誌『Scientific Reports』

※英語版はこちら