昆虫先端研究推進拠点

昆虫先端研究推進拠点では、下記の3つの研究部門を設置して有機的に連携しながら、医・食・環境の3つの視点から包括的に持続可能な社会をつくりあげるためのヘルスサイエンス研究を推進しています。

昆虫先端研究推進拠点では下記のように、昆虫先端科学を活用したヘルスサイエンス研究推進プロジェクトとして国内外の大学、研究機関あるいは企業等との共同研究課題を募集しています。

共同研究

 我が国では、世界が経験したことのない速度で超高齢化社会が進行しています。そのため、医療、福祉など増加する高齢人口への対応が迫られています。なかでも一般に9~13年とされる日常生活に制限のない期間(健康寿命)と平均寿命との差をいかに短くするかが喫緊の課題で、加齢に伴って発症する疾患の治療方法や予知・予防方法の確立が急がれています。また、“多くが罹患しない”として社会的に見放されてきた希少未診断疾患は実は、その数5,000〜8,000種、罹患者は世界で実に4億人を超えるといわれ、大きな公衆衛生課題となっています。こうした未診断疾患では診断をつけることが治療への第一歩になります。一方で、人間活動に伴って排出される温室効果ガスやプラスチック廃棄物等による環境変動、それに伴う食料不足や食の安全も深刻な課題となっています。
 本拠点では、神経変性疾患、癌、生活習慣病等も含めた広くヒト疾患等の予知・予防及び治療方法の探索あるいは未診断疾患の診断確定のための疾患モデルショウジョウバエなどの作製、資源生物の生産や環境保全機能の維持増進のための研究を行っています。医・食・環境の3つの視点から、包括的に持続可能な社会をつくりあげるための研究を推進しています。
 さらに現在のモデル昆虫研究をアップグレードし、生命現象解明と昆虫利用の実用化を図るべく、昆虫先端科学を中核としたヘルスサイエンス研究推進プロジェクトとして共同研究課題の募集を行います。

令和2年度の募集要項については研究推進課ホームページをご覧ください。

ショウジョウバエ遺伝資源研究部門

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 キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)は、赤い眼をもつ体長3-4 mm のハエで、人間の住居があれば世界中どこにでも見つかります。1910 年(明治43年)、このハエの白眼の突然変異体を発見したT. H. モーガンは遺伝子が染色体にあることを初めて実証しました。この成果により、彼は後にノーベル賞を受賞しました。以来、キイロショウジョウバエはもっとも有名な実験生物のひとつとなり、今日まで多くの突然変異体が発見あるいは人為的に作製され、生命科学の様々な研究に用いられてきました。ショウジョウバエは、例えば味や匂いなどの感覚、学習、求愛などの高度な神経活動の実験に用いることも容易です。さらに1999 年にゲノムの全塩基配列が決定されると、キイロショウジョウバエの遺伝子数はヒトのおよそ半分(約14,000 個)で、そのうち約10,000 個は構造や機能の点でヒト遺伝子とよく似ていることが明らかになりました。ショウジョウバエが生命科学研究に必須のモデル生物としてますます重要となりつつあることを受け、平成11 年に本研究部門の前身となるショウジョウバエ遺伝資源センターが設置されました。平成27年7月からは昆虫先端研究推進拠点の研究部門として他部門と連携しながら活動を行っています。
 現在、本研究部門は世界最大規模の約30,000 種類のショウジョウバエ系統を保有し、依頼に応じて国内外の研究者に提供する国際的ストックセンターとして研究コミュニティに貢献しています。また、国内外で新たに作出された突然変異を受け入れることで、保有系統の一層の充実も図っています。
 上記の収集・提供事業に加え、本学独自の遺伝資源の開発・研究にも取り組んでいます。ヒトゲノム断片を組み込んだヒト化ショウジョウバエ系統は生物種の枠を超え、未診断疾患の病因解明などゲノムの機能と構造を明らかにする研究資源となります。さらに豊富な突然変異を駆使し、生命システムの頑健性、精子形成と受精、配偶行動、ゲノム進化、老化などに関する研究を精力的に行っています。赤眼のハエの背に乗って、生命の原理と多様性の謎に挑む。最終目標は生と死、老いをみつめなおすことです。

教員
研究部門長 教授 高野敏行
助教 都丸雅敏

生物資源フィールド科学研究部門

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 本研究部門は、大正11 年、京都高等蚕糸専門学校の実習桑園として開設され、その後京都工芸繊維大学繊維学部附属農場を経て、平成29 年12月からは昆虫先端研究推進拠点の一研究部門として他研究部門と連携しながら活動を行っています。
 本部門は、資源昆虫学、資源植物学、バイオ資源学の3 教育研究分野から構成されている。そのうち、資源昆虫学分野では有用昆虫の利用と有害昆虫の防御に関する教育研究、資源植物学分野では資源植物の生態と栽培、環境保全・循環型生物生産に関する教育研究を行っています。
 各教育研究分野には学部・大学院生が在籍し、研究を行っている。また、本研究部門からは、学部授業科目(実験・実習・演習を含む)と大学院授業科目とを提供し、「21 世紀におけるヒト、資源生物、環境の相互作用に関わる課題に関してバランスのとれたセンス」を備えた人材育成を目指した教育・研究環境を提供しています。

教員
研究部門長 教授 秋野 順治
教授 一田 昌利
教授 中元 朋実
准教授 堀元 栄枝

昆虫バイオメディカル研究部門

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 教育研究プロジェクトセンターとしての活動を経て、平成22 年に「昆虫バイオメディカル教育研究センター」が発足しました。平成27 年7月からは本学の昆虫関連研究をおこなう3センターを統合させた昆虫先端研究推進センターが発足し、平成29 年12月からは昆虫先端研究推進拠点となりました。本研究部門は拠点の一角を担う研究部門として教育研究活動を行っています。
 本部門は、ショウジョウバエやカイコなどの昆虫を利用して、ヒト疾患原因遺伝子や関連遺伝子を探索し、疾患治療薬、診断マーカーの探索並びに疾患発症メカニズムを解明し、難病の発生メカニズムの解明に寄与すること、また、昆虫ウイルスを用いて細胞増殖因子などをカプセル化したタンパク質を作成し、組織再生などの再生医療に貢献することを活動の目的としています。

■昆虫バイオメディカルの流れ

教員
研究部門長 准教授 井上喜博

学部・大学院・センター