里見宗次(1904-1996)は、1922年美術を学ぶため単身パリに渡りその後デザイナーに転身、アール・デコのデザイナーとして国際的な地位を確立しました。第二次世界大戦が激しさを増した1940年に里見は日本に帰国しますが、翌年には日本政府よりタイに派遣されます。タイで12年あまりを過ごした後、再びパリに戻りデザイナーとしてその生涯を送りました。その洗練されたエスプリに富むデザインはよく知られる一方で、彼がフランス・日本・タイで辿った軌跡が語られる機会はあまり多くありません。
京都工芸繊維大学美術工芸資料館は、作家とご遺族のご厚意により寄贈された多くの作品および関連資料を所蔵しています。ポスターから新聞広告やパッケージにいたるグラフィック作品、彼が自身のポスターを再制作した作品群、書簡や記録写真などの資料を紐解くことで、里見の知られざるグラフィックスと彼がフランス・日本・タイで辿った軌跡をご紹介します。