本専攻は、独立専攻です。専攻名のファイブロは、「ファイバー状の」という意味の連結語で、科学と連結した「ファイブロ科学」はファイブロ材料及びその応用分野を研究対象とします。本専攻では、テキスタイルサイエンス・エンジニアリングを学ぶことにより、人と環境に優しいものづくりができ、かつ未知のものに向かって自らの考えでアプローチができる応用力を身につけた人材育成を目標としています。
先端ファイブロ科学専攻では、自然科学と社会科学の融合的な視点から、持続可能な社会の実現に貢献するファイブロ(繊維・柔軟材料)技術の革新に取り組んでいます。
研究分野は、地球環境や人間の暮らしに調和する高機能・高感性ファイブロ材料の創出、生体や日常生活に適合する快適素材の開発、天然資源の有効活用による環境配慮型素材の設計、スマートテキスタイルやIoTと連動したファイブロ素子の開発など、多岐にわたります。
特に近年は、ナノファイバー技術や複合材料の開発を通じて、軽量・高強度・高機能を兼ね備えた次世代マテリアルの創製を進めるとともに、京都の伝統工芸材料(染織技術・漆・和紙など)を現代のサステナブル素材と融合させる先進的な研究にも取り組んでいます。さらに、染織文化財の保存・継承に関する科学的研究や、心地よさ・審美感・印象といった感性特性を可視化・数値化する感性工学的アプローチも推進しており、人間中心のモノづくりに貢献する独自の研究体制を築いています。
教育プログラムでは、「テキスタイルサイエンス」に基づく専門基礎科目に加え、デジタル技術(DX)を活用した応用科目、課題解決型学習(PBL)、実務経験豊富な教員による「社会の中の科学技術」、さらに、英語セミナーや学生主導のファイブロシンポジウムなど、企画・発信・実践力を兼ね備えた人材育成を重視したカリキュラムを展開しています。
本専攻では、国際化を推進する教育プログラムとして、テキスタイル分野に特化した国際連携修士課程「WE-TEAMマルチプル・ディグリー・プログラム」を展開しています。2021年よりEUのErasmus Mundus Joint Masters(EMJM)の支援を受け、京都工芸繊維大学とヨーロッパの複数大学によるコンソーシアムによって共同運営されています。
本プログラムでは、学生が3か国以上で学びながら、複数の大学の修士号を取得することができます。KITは非欧州圏で唯一、フルパートナーとしてこの国際教育ネットワークに参画しており、世界中から集う同期生とともに、多様な視点と文化の中で学ぶ経験が得られます。KITに入学した外国人留学生も本プログラムに参加可能で、国際的な教員陣による授業が提供されています。