材料化学系 Giuseppe Pezzotti教授らの研究グループは、ラマン分光法による新型コロナウイルス変異種同定法を世界に先駆けて開発しました

 材料化学系 Giuseppe Pezzotti(ジュセッペ ペッツォッティ)教授らの研究グループは、京都府立医科大学大学院医学研究科免疫学 松田修教授ら、歯科口腔科学 金村成智病院教授らの研究グループと共同で「ラマン分光法注1)による変異種同定法」を開発しました。
 「ラマン分光法による変異種同定法」は、遺伝子配列情報に基づいて同定するPCR法とは異なり、ウイルスを構成するアミノ酸残基の情報および分子スケールでの非対称性情報に着目した手法であり、特にそれらの解析結果をバーコード化しパターンニングする方法はこれまでにない全く新しい概念です。
 本研究グループは、すでに、新型コロナウイルス変異種の各々が固有で有する分子構造的特性およびラマンスペクトル注2)解析条件の存在を見出し、かつそれらをバーコード化しパターンニングすることに成功しています。
 本手法は、遺伝子情報による変異種同定法と比して、より効率的かつ迅速に変異種の分子構造を可視化・モデル化することが可能であり、各変異種の地理的・時間的な感染分布の状況解明、さらには効果的なワクチンや治療薬開発の加速化に貢献することができます。

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本研究結果は「Advanced Science」(外部サイト)に掲載されるとともに、「ADVANCED SCIENCE NEWS」(外部サイト)にも取り上げられました。

   図:変異種によるラマンスペクトルの違い 
   (a)JPN/TY/WK-521(従来株)、(b)QK002(α株)、(c) QHN001(α株)

(用語解説)
注1)ラマン分光法
 ラマン散乱光を計測して、物質の化学結合、分子構造、配向・結晶性、応力・ひずみ、温度、電気特性などを解析評価する分光法。

注2)ラマンスペクトル
 光を照射された物質から、光と物質の相互作用によって入射光とは異なる波長のラマン散乱光が射出します。横軸を波長(波数)、縦軸をシグナル強度として、このシグナルを表現したものがラマンスペクトルです。