京都工芸繊維大学学生フォーミュラ参戦プロジェクトチーム「Grandelfino(グランデルフィーノ)」は、「学生フォーミュラ日本大会2025」において、ICV部門で総合優勝し、大会史上初の4連覇を果たしました。本大会での取り組みと結果をご報告いたします。
本大会は、公益社団法人自動車技術会が主催する、学生の自主的なものづくりの総合能力を養成し、将来の自動車産業を担う人材を育てるための公益活動として、2003年にスタートし、2025年度で23回目を迎えました。競技は、静的審査(コスト、デザイン、プレゼンテーション)・動的審査(走行競技、燃費等)で構成され、学生が自ら構想・設計・製作した車両により、ものづくりの総合力が競われます。
私たちは2020年に「大会史上初の総合優勝4連覇」という大目標を掲げ、エンジンの載せ替えやモノコックフレームの採用、イナーター搭載など、毎年新たな開発に挑戦しながらマシンのレベルアップを図ってきました。
その集大成として挑んだ2025年度大会では、総合得点で834.52点を獲得し、ICVクラス総合優勝と大会史上初となる4連覇を達成しました。
エンデュランス後の集合写真
しかし、大会当初から順風満帆だったわけではありません。泉大津フェニックス多目的広場をお借りして走り込みを重ねたマシンでしたが、大会当日に不調が見つかり、得意としてきた動的種目で思うような結果を残せませんでした。首位チームとは一時40点差、オートクロス(直線・ターン・スラロームのコース走行性能を競う種目)も6位に終わるなど、チームの雰囲気は一気に重くなりました。
マシンを調整する様子
チームの転機となったのは、デザイン・プレゼンテーション・コストの3つの静的審査結果です。コスト審査1位、デザイン審査3位という高い評価を得たことで、総合得点において逆転優勝の可能性がまだ残されていることが分かりました。加えて、多くのOB・OGやスポンサーの皆さまからの励ましの言葉が、沈んでいたチームの空気を徐々に前向きなものへと変えていきました。
3回生はマシン修復に全力を注ぎ、上級生と2回生はそのサポートと準備に徹しました。プラクティスエリアでのテスト走行を重ね、不安を抱えながらもエンデュランス(コースを約20km走行し、走行性能、耐久性を競う種目)に臨める状態までマシンを立て直します。その日の宿では、和やかな雰囲気の中でドライバー交代練習を行いながら、それぞれが最終日に向けて集中力を高める時間となりました。
最終日、20kmの耐久走行であるエンデュランスでは、マシンは快晴の下で軽快な走りを見せました。他校と比べても明らかに速いラップを刻み続け、まさにチームのモチーフであるイルカが大海原を泳ぎ回るような走行でした。結果はエンデュランス1位、燃費でも優勝争いチームを上回り、総合優勝と4連覇をつかみ取りました。
快走するマシン1
快走するマシン2
レース後、多くの世代のメンバーやOB・OGが集まり記念撮影を行いました。スポンサーの皆さまからも温かい祝福の言葉をいただき、この4連覇は、これまでGrandelfinoに関わってこられた方々、活動を支えてくださった家族や地域の皆さま、スポンサーの皆さまのご支援の賜物であることを深く実感いたしました。
OBとの集合写真
学生フォーミュラでは、設計・製作・マネジメントといった技術的な力に加えて、支えてくださる方々への感謝の心や、困難な状況でもあきらめずにやり抜く姿勢など、多くの学びを得ることができます。この経験を糧に、2026年度プロジェクトリーダーとして、次の世代へとこの想いと技術をつないでいきます。
2026年度プロジェクトリーダー 大西 隆成
工芸科学部 機械工学課程 2回生
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