電気電子工学系 三浦 良雄 教授らの研究グループは、説明可能AIのアプローチでフェルミ面の異常検知に成功しました

 電気電子工学系 三浦 良雄 教授らの研究グループは、ホイスラー合金Co2MnGaxGe1-x(コバルト‐マンガン‐ガリウム‐ゲルマニウム)(*1)を対象に、フェルミ面(*2)を自動解析する機械学習手法の確立に成功しました。
 フェルミ面は物質の電気特性、磁気特性、トポロジカル特性を理解する上で重要な役割を担っています。フェルミ面はこれらの機能に応じて複雑に形状が変化するため、微細な形状変化を解析することが困難で、目視による解析は多大な労力を伴います。
 本研究では、説明可能AIのアプローチで、主成分分析(PCA)(*3)と距離学習による外れ値検出(*4)を組み合わせ、フェルミ面の形状変化を自動検出する手法を確立しました。この手法により、スピン偏極率(*5)の極値およびノーダルライン(*6)の出現位置を自動的に可視化することが可能となりました。さらに、ノイズやぼかしへの堅牢性を検証し、実験的なAI解析手法の基盤を構築できました。本手法は、機能性材料のインテリジェント解析の基盤として、AI4Scienceの実現に貢献するものです。

三浦先生

 本件の詳しい内容はこちら(PDF)

本研究成果は、2026年4月27日に国際学術誌「Scientific Reports」(外部リンク)にオンライン掲載されました。

【用語解説】
*1 ホイスラー合金Co2MnGaxGe1-x
 主にX2YZで表される三元系の金属間化合物。強磁性や半金属性を示すものが多く、高いスピン偏極特性を持つことから、スピントロニクス材料として注目されている。

*2 フェルミ面
 物質の中で電子がどのような速さや向きで動けるかを表す「境界面」のこと。電気の流れやすさや磁気的な性質など、材料の機能を決定付ける重要な物性です。

*3 主成分分析(PCA)
 多変量データを分散が最大になる方向へ射影し、情報を保ったまま次元削減する統計的手法。材料研究ではスペクトルや画像データの因子解析などに活用されている。

*4 外れ値検出
 データセットの中で他と統計的に著しく異なる点を特定する手法。

*5 スピン偏極率
 電子の集団において上向きスピンと下向きスピンの数の偏りの割合。

*6 ノーダルライン
 運動量空間において、2つのエネルギーバンドが線状に交差する状態。トポロジカル物質に特徴的な電子構造であり、異常ホール効果や異常ネルンスト効果などの特異な物性発現と関連する。

【このページに関する問い合わせ先】
総務企画課広報係 
TEL:075-724-7016
E-mail:koho[at]jim.kit.ac.jp(※[at]を@に変換してください)