京都工芸繊維大学「鳥人間プロジェクト“きっと、Flyers”」は、「第48回鳥人間コンテスト2026」の滑空機部門に初出場し、「THE BEST BIRDMAN賞」及び「審査員特別賞」を受賞しました。
「鳥人間コンテスト」とは、読売テレビが主催する「空を飛びたい」という人類の夢をかなえるべく、バードマンたちが自ら作り上げた飛行機を操縦し、その飛行距離などを競う大会で、1977年の第1回大会から始まり、2026年度大会で48回目の開催を迎えました。
競技は、人間のペダルを漕ぐ力のみの動力で飛行距離を競う「人力プロペラ機部門」と、風と初速のみを利用する純粋なグライダー競技として飛行距離を競う「滑空機部門」の2つの部門に分かれています。
本学チームの2026年度大会広報担当である岩倉克磨さん(機械工学課程3年)に、本大会までの取り組みや今後の展望を伺いました。
私たちは2024年3月にチームメンバーが2名にまで減少し、人員不足の中、2025年3月に2026年度大会代表である牧野耕大さん(機械工学課程3年)が前代表からチームを引き継ぐことになりました。そんな私たちの前に最初の壁として立ちはだかったのは、顧問の先生から告げられた、今後の活動継続の難しさという厳しい現実でした。そして昨年度の「学生と教員の共同プロジェクト(※)」の採択にあたっては、今後十分な成果を残せなかった場合、来年度以降の支援は見送られるという、まさにチームの存続をかけた厳しい条件が突きつけられました。
通常、機体の製作にかかる費用は200万円を超えると言われており、資金不足及び人員不足によるチーム存続の危機が現実的になっていました。そのため、大学からの資金援助がどうしても必要でした。
そのような状況下であっても、牧野代表の「こんなところで終わらせる訳にはいかない」という強い思いと、熱心な呼びかけにより7人の2、3年生が集まりました。また、そこに新入生3人の仲間を加え、10人での製作を開始しました。
目標は、チームの存続のために絶対条件である「大会出場」。チーム創設6年目の悲願を叶えるべく、私たちは茨の道へと歩みはじめました。
活動場所(倉庫の一角)
活動の様子
鳥人間コンテストに出場するチームの多くは、先輩方が残したノウハウを基に、機体をより良いものにするため試行錯誤を重ね、48年間の中で進化させてきました。一方、私たちには引き継ぐノウハウがなく、コロナ禍の影響も後を引く中、ほぼゼロの状態から大会に挑戦することになりました。さらに、通常200万円以上かかる機体製作費を70万円ほどに抑える必要がありました。そこで多方面に情報発信を行い、多くの鳥人間OBや現役の方々に支援を呼びかけたところ、設計のサポートをしてくださる方が現れました。その方のお力をお借りするとともに、最も費用がかかると言われる「桁(翼を支える骨組みの中心となるもの)」を他チームから譲り受けたり、安価で提供していただくことができました。
2026年度の機体製作でお世話になったチームは、以下のとおりです。
東北大学 Windnauts 様
東京理科大学 Aircraft Makers 様
早稲田大学 WASA 様
名古屋大学 AirCraft 様
OBチーム AIOLIA 様
譲り受けた「桁」の使用箇所
初めて試作翼を完成させたときの様子
全組の様子(初めて全ての翼を接合したときの様子)
このようなご支援のおかげで、まずは80~90万円ほど経費を削減することができました。さらに、学生だけでの輸送が難しく高額となるトラックでの輸送を諦め、ハイエースでの輸送に変更しました。これにより、経費を30万円近く節約することができたのです。
一方で、ハイエースに積み込むためには、車体に入る長さがトラックよりも短いため、翼の分割数が増えてしまうという課題が生じました。分割数が多いと、結合部の強度や構造が弱くなるだけでなく、分割部の隙間や段差、歪みによって空気抵抗が増え、空力性能が低下してしまいます。それでも、私たちは手作業で、できる限り精度を追い求めました。資金難であっても、工夫次第で記録を残せるという希望を次の世代へ残すため、精一杯努力を重ねました。
大会直前の作業の様子
ハイエースへ積込後の様子
2026年度大会へ向けて、私たちはメンバー間での意見の衝突や、個人への負担集中等により、チームの空中分解の危機にも直面しました。また、製作スケジュールの遅れから、機体が完成しない恐れがあり、「大会棄権」という文字がメンバーの頭をよぎったこともありました。それでも、「こんなところで終わらせる訳にはいかない」という牧野代表の一言が、私たちに再び火をつけ、悲願の「大会出場」という目標に向けて前を向き、走り続けました。
本大会では、初出場の学生チームとして2番目となる204.08mの記録とともに、過去48年間で初となる「THE BEST BIRDMAN賞」と「審査員特別賞」のダブル受賞を達成しました。
大会当日早朝からの機体組立の様子
フライト後の様子(左:パイロット 渡邉航太さん 右:代表 牧野耕大さん)
これはひとえに、私たち“きっと、Flyers”を応援してくださった教職員、学生の皆様とそのご家族、ならびに関係各所の皆様によるご支援、ご声援のおかげです。実際にプラットフォームに立った時の不安を払い、背中を押してくれたのは皆様の温かいご声援でした。本当にありがとうございました。
この1年間で得た経験は、私たちにとって、何事にも代えがたい貴重な財産であり、2026年度大会のメンバーにとってもかけがえのない誇りとなりました。これまで支えてくださった関係者の皆様に、改めて心より感謝申し上げます。
私たち“きっと、Flyers”は2026年度大会の成果に満足せず、2027年度大会では「400m」という大台への挑戦を目標に今後も活動を続けます。また、来年度以降も琵琶湖に機体を運べるよう、製作に尽力してまいります。
今後ともご支援、ご声援をよろしくお願いいたします。
2026年度大会出場メンバーによる集合写真
2026年度大会広報担当 機械工学課程3年 岩倉 克磨
(※)学生と教員の共同プロジェクトは、学内外でのイベントや出展に向けて、学生と教員が協力する主としてものづくり教育プロジェクト及びボランティア活動や地域活動に関するプロジェクトを、大学が財政的に支援するものです。
【このページに関する問い合わせ先】
総務企画課広報係
TEL:075-724-7016
E-mail:koho[at]jim.kit.ac.jp(※[at]を@に変換してください)