本展覧会は、福知山市と京都工芸繊維大学が包括協定を結び、また、京都工芸繊維大学福知山キャンパスが開校されたことを記念して、京都工芸繊維大学美術工芸資料館の協力のもとで企画されました。
京都工芸繊維大学の前身である京都高等工芸学校は、1902年に誕生しました。初代校長をつとめた工学博士の中澤岩太(1858-1943)はベルリン留学やパリ万博視察などを経験し、同じようにパリへ留学していた浅井忠(1856~1907)を教授として迎えます。洋画家であった浅井は、当時のヨーロッパにおいて全盛期を迎えていたアール・ヌーヴォーに直接触れ、デザインの重要性を感じてポスターや工芸品を持ち帰り、京都高等工芸学校でのデザイン教育に役立てていきます。これらの作品は美術工芸資料館のコレクションとなり現在に続いています。
第1章「アール・ヌーヴォーのポスター」では、本校のデザイン教育の基礎となったフランスや他ヨーロッパ諸国の華やかなアール・ヌーヴォーのポスターを展示します。
第2章「パリ万博」では、浅井や中澤に影響を与えたパリ万博について、当時のメダルや賞状、写真パネル、工芸品などを中心に紹介します。
第3章「デザイン教育」では、浅井の工芸品や図案、そして東宮御所の壁掛けの下絵として制作された《武士山狩図》を展示します。加えて京都高等工芸学校時代のデザイン教育がどのようなものであったのかを表す生徒作品をご覧いただきます。