令和5年度海外教育連携教員派遣報告
水口 朋子 准教授 (ドイツ・Friedrich-Alexander-Universität Erlangen-Nürnberg)

所属 材料化学系 准教授
氏名 水口 朋子
期間 令和5年8月25日-令和6年2月5日
滞在先 Friedrich-Alexander-Universität Erlangen-Nürnberg(ドイツ)

 2023年8月から2024年1月まで、ドイツのFriedrich-Alexander University(FAU)に滞在しました。FAUはバイエルン州のエアランゲンおよびニュルンベルクにキャンパスを持つ総合大学で、特に科学技術や医学に強みがあります。私はエアランゲンの理工系キャンパスにあるMichael Engel氏の研究室に滞在しました。エアランゲンの街は治安が良く、ほとんどの場面で英語が通じるため、海外からの学生や研究者にも滞在しやすい場所です。

 Engel氏は分子集合系の計算機シミュレーションを専門とし、2022年には論文引用数が世界でトップ2%に入ったほどの優秀な研究者です(FAUの特徴として、教員一人当たりの論文引用数が多いという点があります)。それもあってか、Engel氏の研究室には海外からの留学生が多く、さらに私の滞在中にも4名の交換留学生に1名の訪問研究者(教授)を短期で受け入れていました。そのような国際的で活発な研究環境の中に身を置き、私も大きな刺激を受けました。特に、博士の学生が自立して研究を行い、ミーティングで活発に意見を述べていたことは印象的でした。教員の方も、博士の学生に対しては「学生」というより「研究者」として対等に接しているように思いました。また、他の研究グループと合同で成果発表や雑誌会を行うなど、研究室や専攻を横断して交流する機会がたびたび設けられているのも、良い環境だと感じました。ドイツの大学は授業料が無料であるため、経済が発展していない国からの留学生も多く、チュニジアやアゼルバイジャンなど、これまでに知り合ったことのない国の人と交流できたのは貴重な経験でした。

 ドイツ滞在中は大学が所有しているゲストハウスに住んでいましたが、そこでも様々な出会いがありました。ゲストハウスには基本的に短期滞在の研究者が住んでいて、トルコやマレーシアから来ている他分野の教授と知り合いになれたことは、今後の貴重な財産になるものと確信しています。ゲストハウスでは地元の方々を集めたイベントがあり、そこで講演も行いました。このような人的ネットワークを構築するための取り組みが様々な場面で行われているように感じました。比較すると、日本の大学は国際交流に関して、地理的・言語的な面でどうしても不利です。積極的に仕組みをつくり、行動していかないと、選ばれない国になるのではないかと危機感を覚えました。

 大学のIT環境に関して付け加えると、計算機やネットワーク関係の設定・管理を専門とするテクニカルスタッフがいて、例えばネットワークプリンタで印刷が出来なくなったという場合には、テクニカルスタッフに相談すれば解決してくれます。研究以外の用務に割かれる時間を減らすことに繋がっていると思います。また、ほとんどの事務手続きがWeb上で完結できるようになっており、署名に関しても電子署名で済むため、紙を印刷して提出する場面は少ないようです。私が滞在していたのは計算機シミュレーションの研究室ですが、大学がスーパーコンピュータを保有しているため、学生も教員も簡単な手続きですぐにスーパーコンピュータを使うことができ、便利でした。計算機センターではセミナーや交流会がたびたび開かれ、例えば交流会の場でプログラミングについて相談すれば、計算機センターのスタッフだけでなく他の研究者からフィードバックを得られるなど、サポート体制も充実していました。研究室の博士の学生も積極的に交流会に参加しており、研究室外で新たな知識やスキルを身につけ、人脈を広げていました。

 最後になりましたが、私の滞在を快く受け入れてくださったMichael Engel氏、および研究室メンバーを初めとしたFAUの方々には深く御礼を申し上げます。また、今回の渡航を支援していただいたスーパーグローバル大学創成支援事業、本学国際課の方々に感謝いたします。私の不在中は、本学の藤原進先生、橋本雅人先生を中心に、材料化学系の先生方に業務を負担していただきました。誠にありがとうございました。


インドからの訪問研究者を囲んでの食事会

滞在していた大学ゲストハウスでの一般向け講演

有名なドイツのクリスマスマーケット

左:インドからの訪問研究者を囲んでの食事会
中央:滞在していた大学ゲストハウスでの一般向け講演
右:有名なクリスマスマーケット

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