分子化学系 安井基博 助教らの研究グループは、銅触媒を用いたジヒドロピリミジノン環の新たな合成法の開発に成功しました

 分子化学系 安井基博 助教らの研究グループは、銅触媒による骨格転位反応を利用したジヒドロピリミジノン環の新たな合成法を開発しました。ジヒドロピリミジノン類は、抗がん剤などの医薬品候補として注目されており、アミノ酸合成の中間体としても利用される化合物群です。従来、この骨格の合成には複数の反応工程を要することが多く、より効率的な合成法が求められていました。今回、炭素-炭素三重結合をもつヒドラジド*1を原料に、銅触媒を用いて環化と骨格転位を連続して進めることで、ジヒドロピリミジノン骨格を一段階で構築することに成功しました。反応機構の検討から、途中で生じるアミンイミド*2の窒素-窒素(N-N)結合が切断され、続いて窒素原子が分子内の炭素-水素(C-H)結合の間に挿入されることで、新たな骨格が形成されると考えられます。この合成法は、原料を構成するすべての原子を生成物に取り込める点に特徴があり、様々な置換基をもつ原料にも適用できました。また、得られた化合物をさらに変換し、別の誘導体を合成することにも成功しました。本成果によって、多彩なジヒドロピリミジノン類の効率的な供給が可能となり、医薬品候補化合物の探索や有用な化合物の合成への応用が期待されます。

本件の詳しい内容はこちら(PDF)

本研究成果は、2026年10月5日に国際化学雑誌『Organic Letters』にオンライン掲載されました。

用語解説:
*1ヒドラジド:カルボン酸のOH基が、ヒドラジン由来の窒素-窒素(N-N)結合をもつ基に置き換わった構造をもつ化合物。

*2アミンイミド:隣り合う2つの窒素原子がN-N結合でつながり、それぞれ正と負の電荷をもつ化合物。本研究における「スピロ環状アミンイミド」は、正電荷を帯びた窒素原子が2つの環の共有原子となっている化合物をいう。

【このページに関する問い合わせ先】
総務企画課広報係 
TEL:075-724-7016
E-mail:koho[at]jim.kit.ac.jp(※[at]を@に変換してください)