注目研究の紹介 2019年12月

 本学の注目研究(バックナンバー)

【2019年12月】
 超音波散乱法で拓く微粒子分散系の革新的技術開発とその応用研究(材料化学系 則末智久 教授)

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超音波散乱法で拓く微粒子分散系の革新的技術開発とその応用研究

研究のきっかけと夢

 きっかけ:本学で学位を取得し、助手になった4年目の2004年の秋に、カナダのマニトバ大学に留学する機会を得ました。この時に学んだ超音波をもとに、本学で新しい技術を開発し、現在に至ります。

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 私たちの夢、それは、他の手法ではなし得ない微粒子の新しい解析手法を開発し、独自技術で材料科学に貢献することです。学術的には微粒子の新しい構造、物性や機能を研究し、産業界への応用としては、インク、化粧品、自動車バッテリー、医療診断、環境分野があります。私たちは高分子材料を取り扱う化学系の研究室でありながら、オリジナルの計測技術も開発している研究室です。

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超音波を新しい観点で

 一般的な光を使う技術に取って代わって、私たちは超音波を使います。超音波は、胎児のエコー診断や船のソナーでよく知られていますが、我々の微粒子は、肉眼では確認できない、ミクロン(100万分の1m)、さらにはナノメートル(10億分の1m)の粒子です。我々の技術は、このような微細な粒子を、さらに液体中に浮いたままの状態で、試料を薄めることなく測定できるのです。そして、微粒子の個性を判定するために必要不可欠な次の3つの本質的な特性を、超音波で網羅しようとしています。

 大きさ・硬さ・表面:まず第1に粒子のサイズや分布は材料の特性を最も左右する因子の一つです。1つ1つの粒子の大きさに加えて、複数個が集まると大きな凝集体を作りますが(右図)、そう言った「階層的な」構造を壊さずに調べることができます。

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 そして第2に個々の粒子の硬さを、液中そのままの状態で評価できます。様々な機能をもたらす微粒子ですが、指でつかむことのできない小さな粒子の硬さを非接触で評価できるのです。

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 第3の技術は、粒子の表面特性を評価する技術です。微粒子が液中でバラバラに安定に浮んでいれるのは、粒子と粒子が反発して運動しているためと言われています。この状態に電場をかけ、溶液を薄めずに評価できます。最近では、抗原を標的にする生体応用微粒子や、ナノ粒子で覆われた油滴や中空微粒子(右図)の創製にも取り組んでいます。

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