京都工芸繊維大学美術工芸資料館は、「複製技術としてのポスター」展を開催します。デザイン・建築の資料の収集保存を長年にわたり行ってきた美術工芸資料館では、デザイン資料を文化遺産として残そうという全国的な流れの中で、いわゆる「美術作品」として認知分類されてこなかった「ポスター」の保存管理にとっての相応しい方法論と理念の構築に向けての調査検討を進めています。
本展覧会はその一環として、「複製技術」という視点で資料としてのポスターの特性を概観するものです。展示作品は約30点で、サントリーポスターコレクションの近代ヨーロッパのポスターに、当館所蔵のポスターが対比的に組み合わされる構成となります。
印刷の「版」が重なることによって出来上がる一枚のポスターは、その印刷途上で様々な顔を見せてくれます。下絵の段階、色の校正時、版の組み替え、初刷りと後刷り等、複製技術ならではの特性がポスターには多くあります。それらの特性は、ポスターを作品として分類/記録/保管する際の困難さともなってきました。本展覧会は、そういった問題への示唆も含め、ポスターの多様な姿を提示します。