京都工芸繊維大学の建築教育の伝統は、実学としての堅実な建築家教育を基盤としつつ、柔軟で多彩な思考の展開を目指したものです。京都高等工芸学校図案科にルーツを持ち、京都工業専門学校建築科を経て、京都工芸繊維大学建築工芸学科、建築学科、住環境学科、造形工学科、そして現在のデザイン・建築学課程へと、設計教育に重きを置くその流れは現在まで連綿と受け継がれています。本展は、そこで学んだ各年代の先達たちが、学生時代の集大成として制作した卒業設計の優秀作品を紹介する初めての展覧会です。手描きにより精緻に描かれたそれらの図面は、迫力をもって見るものに迫ってきます。展示図面を通して本学建築教育の歴史とそれが持つ価値を再確認し、建築にまつわる思想が多様化する現代において、我々が考えるべき視点を提示します。