近縁な種の間でも交配が起こらなかったり、交配しても子孫が不妊になったりすることが多い。同所的に生息している種では、このような生殖的隔離の成立が不可欠である。そこで、種の形成(種分化)の解明にあたっては、どのように生殖的隔離が成立しているかを知ることが重要になる。
インド洋のセーシェル諸島に生息するセーシェルショウジョウバエ(Drosophilasechellia)とその近縁種で汎世界的に分布するキイロショウジョウバエ(D.melanogaster)をモデルとして、キイロショウジョウバエの遺伝的ツールを用い、種分化に関わる因子の探索を行っている。特に、セーシェルショウジョウバエ雌がキイロショウジョウバエ雄をほとんど受け入れないことに着目した。欠失染色体を用いた探索により、セーシェルショウジョウバエ雌によるキイロショウジョウバエ雄の配偶者識別に関わる因子が含まれると考えられる染色体領域がいくつか見付かった。
【演 者】
都丸 雅敏
京都工芸繊維大学 ショウジョウバエ遺伝資源研究部門