村野藤吾(1891年~1984年)の建築家としての仕事を振り返るとき、その主軸をなすものの一つに、都市の街角の表情を形づくる建物として、 オフィスビルや銀行、商業ビルや百貨店といった一連の作品群があることに気がつかされます。
それらの建物は、その街のランドマーク的な存在として、長い時間にわたって人々に親しまれてきたものです。またいずれの建物も、村野独自のデザインが施された、独特の雰囲気を醸し出してもきました。
しかし、残念なことに、近年の激しい都市再開発の影響もあって、こうした高い価値をもつ村野の建築が次々と取り壊しの危機を迎えていることも事実です。
すでに、初期の代表作であるそごう大阪本店(1933年)や、戦後の大作の一つである新ダイビル(1958年)などが取り壊されて姿を消し、大阪新歌舞伎座(1958年)も、現在閉鎖されたままの状態になっています。
こうした中、あらためて村野が都市に何をもたらそうとしたのか、その独自のファサードデザインと形態操作にどのような意図が込められていたのか、を確認することは、建築が都市に何をできるのか、良好な都市景観はどのようにすれば守り育てることが可能なのか、など、建築と都市の明日を考える上での貴重な手がかりを与えてくれることでしょう。
そこで、本展では、村野藤吾が都市の中で試みた大小21件の建築作品を取り上げて、端正で格調の高いデザインに込められた建築思想の在りかを確かめてみたいと思います。
現存する作品を撮り下した現況写真も含め、原図や模型などの資料を通して、村野藤吾の世界の一端に触れていただければ幸いです。
開館期間 | 2月4日(月)~5月6日(月) |
開館時間 | 10時~17時まで(入館は16時30分まで) |
休館日 | 日曜・祝日 2月25日(火)・26日(水)、3月12日(火)・13日(水) ※ただし、4月28日(日)から5月6日(月)までの間は開館します。 |
入館料 | 一般200円、大学生150円、高校生以下無料 |
問合先 | 京都工芸繊維大学美術工芸資料館 TEL 075-724-7924 FAX 075-724-7920 E-mail siryokan[at]kit.ac.jp (*[at]を半角の@に置き換えてください。) |
画像をクリックすると詳細(PDF:1,795KB)が見られます。
サイトはこちら: http://www.museum.kit.ac.jp/20130204.html
日時 | 4月20日(土) 14:00~17:00(開場13:30) |
場所 | 京都工芸繊維大学 松ヶ崎キャンパス 東部構内 60周年記念館 (※キャンパスマップをご覧ください) |
パネリスト | 塚本由晴(建築家・東京工業大学大学院准教授) 酒井一光(建築史家・大阪歴史博物館学芸員) |
司会 | 松隈洋(京都工芸繊維大学美術工芸資料館教授) |
参加方法 | 参加費無料、申込不要(当日先着順) |
定員 | 150名 |
同時開催の「タイの水辺集落」展と「造形作家・石田歩の世界ー工作少年の造形力」展も併せてご覧ください。