電気電子工学系 野田実 教授らの研究グループが発表した論文が国際論文誌「AIP Advances」 Volume 13, Issue 1(January 2023)のFeatured Paperに採用されました

 電気電子工学系 野田実教授らの研究グループが発表した論文が国際論文誌「AIP Advances」 Volume 13, Issue 1(January 2023)のFeatured Paperに採用されました。
 本研究グループは、多くの産業分野で実用されている化学気相成長法CVD技術において新しく開発が進む薄膜形成技術であるミストCVD法により、強誘電体薄膜の形成を試みました。具体的にはハフニウム系酸化物薄膜であり、これ自体は常誘電体薄膜として既にシリコン大規模集積回路(Si LSI)の数nm厚の極薄ゲート酸化膜として実用されていますが、これを良好な強誘電体薄膜にできれば、現状のフラッシュメモリを凌駕する高速アクセスの高密度不揮発性メモリを実現できます。ミストCVDプロセスは現状の同膜の形成プロセスに比べ、大気圧・低温プロセスであるため、現在の高度なSi LSIプロセスへの適用自由度が高く、かつ低コストであり、大きなメリットがあります。本研究は、ミストCVD法によるハフニウム系酸化物薄膜の世界でもオリジナルな試みでありますが、現時点でも主たる強誘電体特性が得られており、今後の性能向上が期待されるインパクトの大きい研究です。

 本研究成果は、国際論文誌「AIP Advances」Volume 13, Issue 1(January 2023)(外部サイト)に掲載されました。

    図 ミストCVD HfZrO2強誘電体薄膜を用いたPt/HfZrO2/TiN キャパシタ素子の電気的特性
(a) リーク電流密度の交流電界強度依存性(0.5 kHz)(パラメータ:印加疲労パルス回数(2.5 MV/cm@100 kHz))
(b) 誘電分極密度の交流電界強度依存性(0.5 kHz)(パラメータ:印加疲労パルス回数(2.5 MV/cm@100 kHz))
(c) HfZrO2強誘電体薄膜キャパシタの疲労特性:印加電界ゼロ時の誘電分極密度の印加疲労パルス回数依存性(3×109 回まで測定)