OPEN TECHシンポジウムを開催しました
(ポスト印象派におけるユートピアの表象-セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン)

令和元年6月24日(月)に、本学スーパーグローバル大学創成支援事業(「OPEN-TECH INNOVATION」)では、教育研究交流として、OPEN TECHシンポジウムを開催し、大阪大学より圀府寺司博士、米国のペンシルヴァニア大学よりアンドレ・ドンブロースキー博士、スイスのジュネーヴ大学よりダリオ・ガンボーニ博士をお招きし、「ポスト印象派におけるユートピアの表象-セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン」をテーマとしてご講演頂き、学外者および本学学生や教職員など、54名の来場がありました。

圀府寺博士は、ゴッホが、当時の社会主義思想の影響を受けて、日本をユートピアとみなして南仏アルルに芸術家村を形成した事実を紹介すると共に19世紀末にフランスの他の多くの画家が様々な仕方でユートピアを表象したことを図表化して整理しました。 ガンボーニ博士は、ゴーギャンが、ユートピアという概念の起源となった、トーマス・モア(1478-1535)の小説『ユートピア』(1516)に登場するユートピア島に倣って、南の島、タヒチ島をユートピアと見なして現地に移り住み制作した事を明らかにしました。 ドンブロースキー博士は、セザンヌの作品《カルタ遊びをする人々》を事例として取り上げながら、日常的光景を日常から超越して自律的画面へと変貌させていくセザンヌの制作プロセス自体のうちにユートピアの実現があることを指摘しました。 全体討議では、永井が、3人の登壇者に2つの質問を投げかけました。 1.ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌの3人に、ユートピアの表象をめぐって共同作業の意識が存在していたかどうか? 2.3人の画家がユートピアを表象した心理的プロセスとして、苦しみからの脱出、ゲオルク・ジンメル(Georg Simmel,1858-1918)が「大都市と精神生活」(1903)で指摘した「慰め(Trost)」という生存の欲求がなかったかどうか? その後、会場から、登壇者に幾つか質問がなされ、活発に質疑等々が交わされ、盛況のうちに閉幕しました。

全体討議風景(右からガンボーニ博士、ドンブロースキー博士、圀府寺博士,司会の永井)

全体討議風景
(右からガンボーニ博士、ドンブロースキー博士、圀府寺博士,司会の永井)

ガンボーニ博士講演風景

ガンボーニ博士講演風景