日本最初の芸術村とされる洛北・鷹峯には、本阿弥光悦を中心に、職人であるつくり手から、芸術家、文化を支えた町衆、豪商たちが集まり、それまでになかった使い手の視点を直接反映した新しい工芸が生まれました。京都国立近代美術館と京都の主要な美術館・博物館、美術系大学、機関が連携し、工芸を「見る」「学ぶ」「考える」、そして「体感する」さまざまなイベントを同時多発的に開催する工芸の祭典です。
工芸にまつわる、作家・職人、素材提供者、使い手、つなぎ手、研究者、教育関係者、そして学生、一般の方たちが、それぞれの立場から、展覧会、シンポジウム、ワークショップに集います。「100年後に残る工芸のために」考え、検証し、情報や意見を集約、未来に向けて提言しながら、日本全体の工芸をつないでいく新しい試みが、いま京都から始まります。
人は人と繋がることで、世界を知る。人は、また「もの」と繋がることでも、世界を知ることができる。
人と繋がることが好きなひとも、「もの」と繋がることが好きなひとも、その繋がりは必ず世界に繋がっていく。素敵なあの人は、どんなものを愛しいと思っているのだろう。辛いときにその辛さを癒してくれたものがあるのだろうか。その小さな秘密を知ることで、明日に希望がもてるようになるかもしれない。
人に生きる力を与えてくれる「もの」が持つ力は、それを作った人の力でもある。この展示会は、日々を丁寧に幸せに生きていくために、「もの」の大切さを知り、一人ひとりが愛しいものを探す旅でもある。