令和元年度海外教育連携教員派遣報告
江頭 快 准教授 (ノッティンガム大学)

所属 機械工学系
氏名 江頭 快 准教授
期間 平成31年4月1日-令和元年9月28日
滞在先 ノッティンガム大学

平成31年4月より英国のノッティンガム大学に客員研究員として滞在しております.期間は9月末までです.4月1日に日本を発ちましたが,当時は英国の合意なきEU離脱で出入国が混乱する可能性があり,無事入国できるか少々心配でした.結局離脱は延期され,何事もなく入国できました.また,飛行機の離陸が午前11時半で,新元号発表を30分後に控えながらニュースを確認できなくなってしまい,やきもきしながら旅立ちました.その後,機長が気を利かせて新元号をアナウンスしてくれましたが,英語だったため漢字表記がわかりませんでした(続く日本語アナウンスで知ることができました).

ノッティンガム大学のあるノッティンガム市は,ロンドンから北へ鉄道(電車ではないです)で2時間ほどの距離に位置する人口30万強の地方都市です.中世の伝説の英雄ロビン・フッドが住んでいたことで有名です.市内の主要交通手段は路線バスで,二階建てバスが縦横無尽に走っています.路線バスは一昔前は旅行者にとって最も利用しにくい公共交通機関でしたが,今ではスマートフォンアプリによりよそ者でも楽に利用できるものになりました.おかげで英国に来てから一度もタクシーや配車サービスを使っていません.気候は真夏でも平均最高気温が25℃以下と快適で,夜になると肌寒いくらいです.連日の猛暑を伝える日本のニュースに接するたび,これだけでも英国に来た甲斐があったなあと感じます.冬の寒さを知る前に日本に戻ることになりますが,イメージほど厳寒ではなく,京都の方が冷え込みが厳しいくらいのようです.

ノッティンガム大学は1881年設立の研究型大学で,種々の大学ランキングでは概ね英国内で20位前後,世界で100位前後を維持しています.留学生の獲得に力を入れており,中国とマレーシアにもキャンパスを持ち,大学のロゴでは英国のキャンパスと同列の扱いとなっています.


ノッティンガム大学のロゴ

ノッティンガム大学のロゴ
(英国・中国・マレーシアが同列に扱われている)

私の居室は,メインキャンパスから1kmほど離れたジュビリーキャンパス内の先進加工棟にあります.この棟は1年前にできたばかりで,居室や実験室も広く,設備も充実しています.日本の大学では材料加工系の教育・研究は残念ながら先細りの傾向にありますが,こちらではさらに推進されているようです.受け入れていただいたアダム・クレア教授は,電解加工,レーザ加工,アディティブ・マニュファクチャリングなどの特殊加工分野を専門としています.ここ数年の論文引用数が(誇張でなく)指数関数的に増加している新進気鋭の若手教授です.研究室の電解加工関係の研究グループと連携し,私の専門である微細加工に関わる部分で指導を行っていますが,自分が教わることも結構多いです.また,学生の研究室居室での態度・姿勢への指導が日本の大学と大きく異なっています.日本では学生居室は半ば生活空間となっている場合が多いと思いますが,こちらではほぼ仕事場と化しています.研究室へ所属するのが修士課程を修了してからであり,居室の学生はみな博士課程学生という違いもありますが,まるで一般企業のオフィスのような雰囲気です.私語はほとんどなく,聞こえる会話は研究に関するものばかりです.夕方5時を過ぎると多くの学生は帰宅し,メリハリがあるように思えます.日本の学生居室での姿勢をこのように指導することはなかなか難しいと思いますが,見習いたいものです.

ジュビリーキャンパス1
ジュビリーキャンパス2
ジュビリーキャンパス3

ジュビリーキャンパスには奇抜なデザインの建物が多い

こちらでは4月に入ると間もなくイースター休暇で1ヶ月ほど休講になり,それが終わると3週間の期末考査期間に入ります.それから夏休みが始まり,新年度は9月末から始まります.したがって私の滞在期間中はほとんど通常の授業が行われないことになるのですが,学部3年生向けのPBL型授業に参加し,助言などを行いました.内容は,「産」の参加こそありませんが,かつて本学で実施されていた授業「産学連携ものづくり実践」に近く,担当教授から与えられた課題を5人ほどのグループで1年かけて達成していきます.こちらは学部は3年制で卒業研究がないため,この授業が日本での卒業研究にあたるようです.

滞在期間もあと1月半となりましたが,SGU事業ならびに国際課の方々には大変お世話になりました.また,機械工学系の皆様,とくに山口桂司助教には不在中の様々な業務を引き受けていただき,厚く御礼申し上げます.