オープンキャンパス2022研究室紹介(情報工学課程)

情報工学課程の研究室(15グループ)の概要を紹介します。
もっと詳しく知りたい方は、情報工学課程のホームページもご覧ください。

情報知能システム研究室  (飯間 等)
【研究テーマ】人工知能システムの設計のための最適化・機械学習に関する研究
【キーワード】人工知能/深層学習/強化学習/進化計算/遺伝的アルゴリズム

 知能的な最適化法や機械学習法を用いて様々な分野の人工知能システムを構築する技術に関する研究に取り組んでいます。最適化では、進化計算法、粒子群最適化法といった生物の進化や群れ行動に関する知能に基づく方法がこれまでに提案されています。また、機械学習では、深層ネットワークを用いてパターン認識学習や強化学習を行う方法が提案され、注目を集めています。
 これらの既存の方法を改良したり、これらとは全く異なる新しい考え方で最適化や機械学習を行う方法を開発したりする研究を行っています。また、これらの方法を産業界の実際の問題に適用し、そのときに生じる問題点を解決する研究も行っています。

知能制御研究室  (森 禎弘)
【研究テーマ】知能的な制御システムを設計するためのシステム・制御理論の研究
【キーワード】知能制御/システム解析/制御系設計/生体システム

 システム制御の研究は、フィードバック制御に始まり、その後ロバスト制御へと展開し、最近では知能的な制御を目指す知能制御が大変注目されています。
 本研究室では、知能制御及びそれに関わる情報処理、計算機応用の範疇に含まれるテーマについての教育研究を行っています。特に、制御対象について完全な知識がなくても必要な制御性能を満たす制御系設計のためのロバスト制御理論の研究、組込みシステムなどでみられる複雑なロジックを含む制御系を扱うためのハイブリッドシステム理論の研究、及び環境などの変化に対して柔軟に対応する生体の仕組みを解明して制御系の設計に応用することを目指した研究を進めています。

インタラクティブ知能研究室  (荒木 雅弘、田中 一晶)  ※田中 一晶准教授の紹介動画はこちら
【研究テーマ】人とエージェント及び人同士のインタラクションデザイン・対話モデルの研究
【キーワード】インタラクションデザイン/ロボット/社会的存在感/機械学習/音声対話システム

 人を手助けしたり、人同士のコミュニケーションを仲介したりするエージェント、ロボット、システムのデザインについて研究しています。例えば、人間の手のような触感を持つロボットハンドを開発し、仮想空間のキャラクタやビデオ通話の相手と触れ合えるようにするシステムを開発しています。これにより、相手と同じ空間にいる感覚や相手に対する親しみを高められる可能性があります。
 また知的エージェントとのインタフェースとして、音声対話システムの研究も行っています。例えば、高齢者の健康維持を支援するシステムや三者対話によるチュータリングシステムを開発しています。
 なお、荒木准教授と田中准教授の研究テーマは2020年10月に本学の注目研究として紹介されました。
 <写真:人の手の柔軟性・体温・握力を再現するロボットハンドとの握手実験風景>

マルチメディアデータ工学研究室  (寶珍 輝尚、野宮 浩揮、SIRIARAYA PANOTE)
【研究テーマ】マルチメディアデータの効率的・知的・人間的な処理に関する研究
【キーワード】データ工学/データ科学/マルチメディア/感性工学/表情認識

 計算機とネットワークの進歩に伴い、画像・音楽・動画といったマルチメディアデータが私達の周りに遍在するようになってきています。デジカメで撮った写真、ダウンロードした音楽、ビデオカメラで撮った映像がその例です。このような大量のマルチメディアデータの中から所望のものを的確かつ高速に求めるのは現在の計算機をもってしても容易なことではありません。
 本研究室ではこの問題に取り組んでいます。例えば、マルチメディアデータを内容や印象に基づいて検索する手法、類似のマルチメディアデータを高速に検索する手法や、表情認識を用いて、映像中から印象的なシーンを検索する手法に関する研究などです。
 なお、野宮准教授の研究テーマは2021年6月に本学の注目研究として紹介されました。

画像工学研究室  (福澤 理行)
【研究テーマ】画像計測・認識技術の研究と医療・ものづくり産業分野への応用
【キーワード】画像計測/画像認識/機械学習/組み込みシステム/Industrial IoT

 スマートフォンに代表されるように、私たちは普段から多くの画像や動画像を利用して生活しています。また、工場での製品の欠陥・異物検査や、病院でのCTやMRI検査など、家庭以外でもディジタル画像の利用は急増しています。
 本研究室では、普通のカメラでは撮影できない画像を撮影する超高性能ハードウェアの研究、製品の欠陥や人体内部の病巣など画像データから有用な情報を抽出・計測・識別する研究、さらに、画像処理結果を3Dや4Dで再構成・可視化する研究など、画像に関する幅広い研究を行っています。研究成果の一部は、ものづくり企業や医療機関で長年にわたって応用されており、今後も、研究成果の社会実装が期待されています。

視覚情報研究室  (杜 偉薇)
【研究テーマ】異分野の専門家に有効な視覚情報を抽出する研究
【キーワード】信号・画像処理/パターン認識/コンピュータービジョン/機械学習

 目的によって、異なる画像システムが生成されます。例えば、病変を見るためのCT画像が挙げられます。しかし、人間が外界から得る視覚情報を全て理解し、さらに、他の情報を導くことは困難です。
 本研究分野では、信号・画像処理、パターン認識、コンピュータービジョン及び機械学習であるディープラーニング手法を利用し、得られた視覚情報を専門家に支援する研究をしています。具体的には、1)木材強度を研究する専門家を支援するための丸太特徴量の抽出、2)芸術家を支援するための長年にわたる損傷した美術品のディジタル補完、または、医師を支援するための 3)肺結節の検出・良悪性の判別、4)眼底画像の病変分析、などの研究を進めています。

コンピュータシステム研究室  (平田 博章、布目 淳)
【研究テーマ】高性能コンピュータシステムの構成方式及びその要素技術の開発
【キーワード】コンピュータアーキテクチャ/並列処理/マイクロプロセッサ設計/ストレージシステム構成方式/マルチスレッド処理方式

 コンピュータは様々な機器に組み込まれ、我々の社会にとってなくてはならない道具として、その適用範囲を広げています。
 本研究室では、そのようなコンピュータの使用目的の広がりを常に意識しながら、コンピュータに関する種々の基盤技術について研究を進めています。コンピュータの心臓部であるプロセッサの設計をはじめ、複数のプロセッサやコンピュータをネットワークで接続した高性能の並列/分散コンピュータシステムやセキュリティの維持・向上を重視するコンピュータシステムなど、ハードウェアだけでなくコンパイラやOSなどの基本ソフトウェアを含むコンピュータシステム全体にまたがる新しい技術の開発に力を注いでいます。

ソフトウェア工学研究室  (水野 修、崔 恩瀞)
【研究テーマ】機械学習を用いたソフトウェア不具合検出技法の研究開発
【キーワード】ソフトウェアリポジトリ/不具合/ソースコード解析/機械学習/ソフトウェアテスト/クローンコード

 ソフトウェアの開発は年々大規模化・複雑化していますが、開発技術自体の進歩は遅く、納期の遅延、開発コストの超過、品質の悪化などの問題が発生する原因になっています。
 本研究室ではソフトウェアリポジトリマイニングによって、開発履歴からソフトウェアの品質向上に有効な知見や手法を抽出することを試みています。研究は、オープンソースのソフトウェアを対象としたものから、企業との共同研究を通じたソフトウェアプロセスのデータの分析まで幅広く行っています。具体的には深層学習を用いて不具合のありそうなソフトウェアモジュールを検出する手法や効率的なソフトウェアテスト作成技法などを研究しています。
 なお、水野教授と崔助教の研究テーマは2021年11月に本学の注目研究として紹介されました。

情報セキュリティ研究室  (稲葉 宏幸、CHEN Lu)
【研究テーマ】プライバシーを考慮した情報セキュリティ技術に関する研究
【キーワード】ネットワークセキュリティ/セキュアプロトコル/著作権保護技術/個人認証

 現在、私たちの身のまわりでは、様々な情報通信システムが使われており、それらなしでは社会生活が成立しなくなってきています。そのような情報通信システムを安心して使用するために情報セキュリティ技術は必要不可欠な技術となっています。
 情報セキュリティ技術は、暗号理論や符号理論などの数学的な基礎理論から、ネットワーク技術やディジタルコンテンツの信号処理技術まで幅広い分野に関連をしていますが、本研究室では、侵入検知システムや迷惑メール対策技術などネットワークセキュリティに関する研究や、電子透かしなどディジタルコンテンツの著作権保護技術、さらには、指紋認証など個人認証技術に関する研究などを幅広く行っています。

コミュニケーションシステム研究室  (梅原 大祐、村上 久)  ※村上 久助教の紹介動画はこちら
【研究テーマ】サステナビリティ志向に基づく通信方式の研究開発
【キーワード】同期技術/変調・符号化方式/MIMO/メディアアクセス制御/マルチプルアクセス/ローカル測位システム

 身近に情報通信端末がない社会生活はもはや考えられません。将来のコミュニケーションネットワークでは、通信効率だけではなくエネルギー効率も向上させたネットワークの実現が望まれています。
 このようなコミュニケーションネットワークの実現を目指して、本研究室では、信号減衰や雑音の影響が大きい通信路において高い信頼性を確保するための変調・符号化方式、情報パケット同士が競合するネットワークにおいてそれらのパケット衝突を低減するためのメディアアクセス制御プロトコル、広範な範囲にある多数のセンサーから情報を集約するネットワークにおいてエネルギー効率を高めるためのスリープ制御技術やネットワークプロトコルを研究しています。
 なお、梅原教授の研究テーマは2022年6月に本学の注目研究として紹介されました。

分散システム研究室  (桝田 秀夫、森 真幸)
【研究テーマ】安全・安心なインターネットインフラストラクチャに関する研究
【キーワード】インターネット運用管理技術/分散システム運用管理技術/システム可視化/e-Learning

 本研究室では、分散システム運用管理技術やe-Learningに関する研究をしています。分散システムとは、多数の計算機がネットワークを介して接続されたシステムを指し、インターネットはその中でも巨大でかつ身近な分散システムです。そのようなシステムを安全・安心して使える状態に保つためには、セキュリティ対策を始め、故障しにくいシステム設計方法など、様々な運用管理技術が必要とされます。
 また、ネットワークに繋がった計算機を個人個人が使用できる環境で、それを教育的な活動に使用することが、e-Learningです。e-Learningは分散システムの助けを借りることで、より深い教育活動を実施できることが期待されています。

教育情報システム研究室  (永井 孝幸)
【研究テーマ】教育のための情報技術の研究開発
【キーワード】オンライン学習環境/学習データ収集・分析/教育用情報システム基盤

 コンピュータ室のパソコンを大勢で共同利用する時代は終わり、現在ではノートPCやタブレット・スマートフォンなど個人が所有する情報機器を学習活動に使うのが普通のことになりました。その結果、大学における教育用計算機システムはコンピュータ室における計算機環境だけでなく、学習活動・研究活動をはじめとして大学生活の様々な側面をサポートすることが重要になりつつあります。
 本研究室ではサーバ仮想化技術を用いたオンライン学習環境やユーザ認証基盤、講義収録システムの開発、学習データの収集・分析など、分散型アーキテクチャに基づいた教育学習支援環境や教育学習環境のセンシング・データ分析に関する研究に取り組んでいます。

認知行動科学研究室  (西崎 友規子)
【研究テーマ】人と人工物のインタラクションにおける認知情報処理に関する研究
【キーワード】認知・心理特性/個人差/認知工学

 情報技術の進展によって、私たちの生活を取り巻く機器やシステムはますます複雑になっています。本研究室では、複雑な機械やシステムを使う人の認知・心理特性の解明を行うことによって、人と機器とのよりよいインタラクション設計の指標を構築する研究を行っています。人の認知・心理特性の個人差を実験心理学的手法によって解明し、様々な特性を持つ人が個々に満足できる機器のインタラクション設計基盤を提案することを目指します。
 応用的なテーマとしては、自動車運転に関わる諸問題をひとつの柱と掲げ、ドライビングシミュレータ等を使用して、運転者の認知・心理特性やその個人差と運転行動の関係を明らかにする研究を進めています。

ヒューマンインタフェース研究室  (渋谷 雄、梶村 昇吾)  ※「ヒューマンインタフェース研究室」の紹介動画はこちら
【研究テーマ】ユーザにとって有用かつ快適なインタラクションに関する研究
【キーワード】ヒューマンインタフェース/インタラクションデザイン/メディアコミュニケーション/モバイルインタラクション/アウェアネス

 本研究室では、ヒューマンインタフェースに関する研究を行っています。ヒューマンインタフェース(HI: Human Interface)とは、人間(human)と他者(computer等)との間(の仕掛け)、または、そこで生じる問題の領域を指します。
 機械が優れた機能を備えていても、それを人が利用することができなければ意味がありません。機械を利用するためにはHIが必要です。良いHIを備えた機器は使いやすく、作業の効率は高く、誤操作も少なくなります。
 さらに、使いやすいだけではなく、利用したくなるHIも考えられます。また、人と機械の間だけでなく、機械を介した人と人とのコミュニケーションあるいは共同作業などを支援するためにも、優れたHIが有用です。

データサイエンス研究室  (村川 賀彦、水谷 治央)
【研究テーマ】ビジネスや社会的課題を統計や機械学習とプログラミングで解決する技術に関する研究
【キーワード】テキストデータ分析/インタラクションモデル/生体情報モデリング

 データサイエンスは、データを扱うための統計的・数理的な技術とその応用の研究で、従来の伝統的理論や手法とは異なる観点から、データによって真実を明らかにすることです。
 ビジネスの分野でのITは数字を集計して管理することが主でした。IT化が進展した現在では、データの量や種類が爆発的に増えています。そのデータを有効に活用することが求められています。これは、企業だけでなく、住民や学生に向けてのサービスの質を高めようとする行政や教育機関などでも同様です。
 本研究室では、Webデータやセンシングデータなどの実データを分析し、ビジネスや社会での現実問題に貢献する技術について研究しています。